2017年12月2日土曜日

12月 酒器展

本日から大黒屋サロンにて酒器展が始まりました。


酒器とはもちろんお酒にまつわる器のこと。ぐいのみ、徳利、片口、麦酒杯、焼酎カップ、おつまみをのせる小皿なども展示しています。


酒器は日々の食事のお供に、また夜のひそやかな楽しみに。そしてクリスマスの乾杯やお正月、節句など祝いの席に使われる特別な器でもあります。お気に入りの一客が見つかれば幸いです。


今回出品していただいた作家14名の作品を少しご紹介致します。

安齊賢太 福島
福島県郡山市で作陶する安齊賢太さん。独自の技法で生み出した黒い土と漆を混ぜ合わせたものを塗って磨く行為を繰り返し行ない、ついつい触りたくなる独特な肌合いと洗練されたフォルムが特徴的です。今回は平盃を新しく作って頂きました。


黒川大介 東京
今回初めてご紹介する黒川大介さん。代表作である「宙」のシリーズ。まるで満天の星空、宇宙を想像させるような作品は、お酒をいれることで景色により深みがでます。国宝である曜変天目茶碗をも思い起こさせる作品です。


加藤委 多治見
青白磁で有名な加藤委さんには、轆轤で制作した丸っこい持ち心地の良い片口と多くのぐい呑を出品していただいております。釉薬の垂れが素晴らしい表情を生み出し、加藤委さんならではのシャープなキレ味は日々の晩酌のお供にも最高です。


小山厚子 備前
備前の女流作家、小山厚子さんの面白さはなんといっても、彼女にしかできない不思議な造形力にあります。普通では考えられないような形や大きさがあり、微笑ましくもあり渋い佇まいは唯一無二の存在感があります。今回、備前以外にも粉引、銀彩、紅志野などの作品も出品していただいております。


小山末廣 備前
先に紹介した小山厚子さんの父である小山末廣さん。厚子さんとのご縁から今回初めて酒器展にご参加頂きました。末廣さんは、備前の名工として有名な故 金重素山氏を師にもち、備前の歴史伝統を正に引き継ぐ作家です。自身で探し求めた良質の備前の土、登り窯で制作する作品は、ずっしりとした風格と凛とした品格が絶妙のバランスがあります。備前の伊部緋襷、窯変徳利などは酒器好きには外せない一品です。

小森邦衛 輪島
髹漆の人間国宝である小森邦衛さん。古くから日本でのお祝いの席で外せなかった漆器の盃、小森さんの卓越した技術で作られる漆の酒器は、そんなハレの席で活躍するものばかりです。特別な一日のために特別な酒器を是非。

瀬沼健太郎 秋田
昨年度も出品していただいた瀬沼健太郎さんは自ら草木を選び、いけるという行為も含めての花のための花器や、古いもののかたちをうつして作られる印象的なガラスの作品で知られています。今回は青砡硝子盃、窯変銀硝子盃という質感、色が特徴的な酒杯を中心に出品していただいています。

新里明士 土岐
白磁の薄手の生地にたくさんのを穴をあけ、その上から透明の釉薬をかけることで光の文様を浮かび上がらせる「蛍手」という技法の作品で知られる新里明士さん。その光を包み込む作品は窓際に置いて置くだけで美しい存在感があります。今回は、様々な形、穴の模様の入った酒器を出品していただきました。


西中千人 千葉
西中千人さんは日本の伝統的な修復技術である、異なる陶磁器の破片でうつわをつなぐ「呼継」の技法をガラスに用いて制作しています。異なるガラス片を繋ぎ合わせることで生まれる美しさは日本人の美意識感覚を再認識させらます。今年は日本橋高島屋で大型のガラスの庭のインスタレーションも発表され益々ご活躍されています。今回は呼継のぐい呑をメインに出品しております。


松田百合子 山梨
伝統の五彩で個性的な絵付けを行い、一目で松田百合子さんの作品とわかる造形は大黒屋でも様々な場所でも使われています。松田さんの華やかな器は、その場の雰囲気も変えてくれるぐらいの存在感があります。今回は果実のような形をした注器も出品しています。

宮澤章 益子

宮澤章さんは益子に窯をかまえ、積化象嵌という独自の技法で長い年月を感じさせる肌合いの作品を制作しています。今回は積化象嵌の徳利、ぐいのみも多く出品しています。

宮澤有斗 益子
今年8月に大黒屋での初個展を開催した、宮澤有斗さん。9月の個展では手捻りの作品を多く展示されていましたが、今回の酒器展では轆轤を使った作品をメインに、銀彩に鉄分の多い釉薬をかけた作品と、灰釉でつくった青磁のような青の器を出品しています。


山口真人 瀬戸

今回初めてのご紹介となる山口真人さんはやきものの町、瀬戸の窯元 西山窯の6代目。
織部・志野・黄瀬戸など伝統をふまえながら、現代的な斬新さを持つ作品を制作しています。ぐい呑、片口など多くの作品を出品していただいております。

吉村昌也 笠間

「吉村粉引」と呼ばれるほどの独自の世界を生み出し続ける吉村昌也さん。窯を修復後、数年が経ちイメージする色が落ち着いて出せるようになったとと言います。今回は人気の麦酒杯を出品、内側にはあえて釉薬をかけないことでビールの泡が綺麗にたち美味しくビールが飲める一客となっています。粉引ならではの使い込むことで変わっていく表情も楽しみの1つです。来年5月には個展を予定しています。

それぞれに個性豊かな作品の数々、手にとって御覧いただきたいものばかりですので、お泊りでなくとも是非ご高覧ください。

展示は2018年1月4日までご覧になれます。12月11日 - 19日は大黒屋はメンテナンスのため休館となりますのでご注意ください。

ご希望の作家の作品に関しての問い合わせがございましたら、メールまたはお電話でお願い致します。