2017年5月26日金曜日

第170回 音を楽しむ会

 5月の音を楽しむ会は今回で4回目の出演となる伊東晶子さんによるピアノコンサートでした。構成・演出は森田克子さんです。
 音を楽しむ会は今回で170回目、伊東さんが出演する月はよく節目のときに当たります。


 今回のプログラムは大好きなフォーレをはじめとしたフランス、ロシア、ポーランドのクラシックの名曲の数々です。


 緊張感の中、一曲ずつ丁寧に想いが込められた演奏が繰り広げられます。


 ”ピアノの詩人”ともいわれるショパンのノクターンは2番が有名ですが、今回はあまり表に出ない第一番を演奏されました。複雑でかなしげな美しさは、あまり知られていないこの曲の魅力を皆さんに伝えてくれました。


 音を楽しむ会のたびに新たな発展を見せてくれる伊東さん。誠実に向き合う姿が印象的で、素晴らしい演奏でした。




 次回の音を楽しむ会は6月26日(月)、ピアノの北村晶子さんです。お楽しみに!

2017年5月19日金曜日

鈴木孝幸 アートを語る会

 現在サロン展示中の鈴木孝幸さんによるアートを語る会が行われました。大黒屋での展示は2回目となります。


 7年前の展示では「現場」「触」「境界」の3点のキーワードを掲げていましたが、その間様々な制作を経て、ものを俯瞰(ふかん)した見方が加わりました。今回はそのうち「現場」という言葉が「場所」に変わり、より広い意味合いへと変化しました。
 

 今回は「川をさかのぼるいし」と称し、大黒屋の目の前を流れる那珂川を大洗の海から上流に向かい逆流してきたことで作品が成り立っています。拾ってきた石や金属、プラスチックの欠片など水が運んできたものを組み合わせており、自身で拾う、運ぶ、移動する行為が重要なポイントになっています。



 今回の展示に至るまでの、中之条ビエンナーレやお住まいの愛知県新城市などでの活動についてもお話してくださいました。作品の素材も石や木だけでなく、鈴木さんの行為や流れる水に結びつけることのできる人工物ートタン板やテグスなど、範囲が広がってきたといいます。


 サロンの中だけでなくこの日、更に屋外に追加された作品があります。那珂川下流で拾った石を大黒屋の前を流れる上流に戻すというまったく新しい形のものです。
鈴木孝幸展は5月30日(火)までです。鈴木さんが運んだ石は8個ありますので、是非探してみてください。

2017年5月1日月曜日

5月 鈴木孝幸展「川をさかのぼるいし place/leg」

本日から大黒屋サロンにて鈴木孝幸さんの個展「川をさかのぼるいし place/leg」が
始まりました。


鈴木孝幸さんは第4回大黒屋現代アート公募展にて大賞を受賞後、
芸術祭や横浜市民ギャラリーの展示に参加するなど精力的に活動されています。
大黒屋では西の館の作品でおなじみですが、サロンでの展示は7年ぶりとなりました。


目の前の「もの」に対して日常では捉えることのない様々な有り様を
明らかにするために自らの身体で触れて制作することをつづけてきた鈴木さん。
今回は下流へと流れる川を意思をもって遡る行為を通し、眼前にある川だけでなく
流れとともに関連してくる海、山、暮らしを提示することを試みたそうです。


展示された作品は大黒屋の側を流れる那珂川を河口の茨城県大洗の河口から
遡るという行為を2回行い、その中で出会った石、ガラス、プラスチックなどの
ものによって構成されています。



石を大地と捉え、それを「盛る」ことを「吊る」ことと捉えた「heaping earth」の
シリーズをはじめ、河原に敷いたトタン板の上を歩いてうつした「just hammering」、
上流から下流という異なる時間の石を繋いで一つにした「just bundling」など
さまざまな形で那珂川をつくる時間、場所、ものが提示される作品が並びました



会場には遡る過程を写した写真もあり、鈴木さんの作品制作過程に近づくことが
できるでしょう。

アーティストトークは5月18日(木)20:00から。
是非お運びください。