2015年7月28日火曜日

羽生野亜さん工房訪問

来月8月1日より、木工作家 羽生野亜さんの展示が始まります。

先日、羽生野亜さんのアトリエにお邪魔した時の様子を少しだけご紹介いたします。


オレンジ色の窓枠が印象的なアトリエ


落ち着いた独特な雰囲気をお持ちの羽生野亜さん


ご自身で制作したテーブル、コースターでお茶を入れていただきました。
1つ1つが個性的でいただく私たちも身がひきしまります。


ご自宅の中央にある印象的な丸い椅子
こちらもご自身で制作された作品の1つ



部屋の中には1点制作の作家として独立後、初期作品といえるものも。


アトリエにて、現在制作を依頼されている作品とともに。
繊細なフレームが作品になるのを待機しています


木を見て、制作するものを決めるという野亜さんは多くの木の板をお持ちでした
大きさ、形、厚み、さまざまな木が作品になるのを待っています


大黒屋での個展開催は初めてとなります。
今からどのような作品がサロンに並ぶのか楽しみです。

建築家や料理研究家など専門家にも愛好家の多い羽生野亜さんの作品。
ぜひお越しくださいませ。

会期:2015年8月01日(土)〜8月30日(日)
会場:大黒屋サロン
アーティストトーク:8月18日(火)20:00〜21:00



2015年7月26日日曜日

第148回 音を楽しむ会

今回の音を楽しむ会は、テノールの上原正敏さんでした。ピアノの多田聡子さんと一緒に出演されました。今回のテーマは「海の上から」です。



オペラなどにも出演される上原さんは、場の状況を楽しみながら歌っているようです。
サロンに響きわたる歌声の高まりに合わせ、観客席も大いに盛り上がりました。



イタリア語の歌だけでなく、「浜辺の歌」「荒城の月」など馴染みの歌もありました。
また、「ボラーレ」ではお客様も笑顔で手を振り、楽しんでいらっしゃいました。


次回の音を楽しむ会は8月26日(水)、ヴァイオリンの青木高志さんです。お楽しみに!

2015年7月21日火曜日

木城圭美 アートを語る会

先日、7月18日に木城圭美さんによるアートを語る会が行われました。



木城圭美さんは、大黒屋で3年間社員として働き、今現在は栃木県大田原で絵描きとして活動している方です。

「画家木城圭美」とは「木城圭美と大黒屋」との関係性「木城圭美の描くもの」とは。
3回にわたってのインタビューもございますのでそちらもご覧ください。




幼少の頃から絵を描くことが好きで、早くから「絵描き」としての道を考え、「絵描き」という仕事を通して社会貢献できたらと語る木城圭美さん。

見る人をリラックスさせ心地よい気持ちにさせることができたら、それも一つの絵描きとしての社会貢献なのではとお話ししていただきました。



ぜひ、木城圭美さんと大黒屋の創り出す空間を実際に見に来ていただき、肌で感じ、心地よいひとときをお過ごし下さい。

最終日は7月30日までです。

2015年7月15日水曜日

大黒屋の手造り梅酒

梅酒の仕込みの季節がやってきました。

水琴亭の白梅の古木は毎年多くの実りをみせます。小ぶりですが実の引き締まった
可愛らしくも凛々しい梅の実です。
そんな梅を手摘みで収穫し、梅の新鮮なうちに素早く原料処理、良質の本格芋焼酎
氷砂糖のみで手造りします。
そのため、手造りならではの優しい味わいと、口いっぱいに拡がる梅の芳香な果実味
特徴の梅酒が出来上がります。爽やかな酸味も感じさせるので、暑い夏の日には、
グラスを片手にソーダ割りで飲むと最高に美味しいのです。
現在は、去年仕込んだ梅酒を好評販売中です。大黒屋へお越しの際は是非ご賞飲下さい。

今年もたくさんの実りをもたらせてくれた梅の樹に感謝です。来年の梅酒はどのような
味わいになっているのでしょうか。



木城圭美インタビュー 第3回「木城圭美の描くもの」

―作品についてお聞きします。木城さんの作品やことばの中には
「宇宙」というキーワードが出てくることがありますが、それはどのようなものですか?
理科の授業で話すような、科学的な宇宙とは違うように思いますが、
木城さんにとっての宇宙とはなんでしょう。

説明は難しいんですが、物質的な宇宙をさすわけではありません。
私のイメージではキラキラした「もや」のようなもの。
目に見えない。つながっている流れのような。

私にも木にも、あなたにもありんこにも流れている。
進化する前まではねずみだったり、その前は海の中のミトコンドリアだったり、
それが分岐して枝分かれしていろんなものになっているけど、
もとには一本の流れがある。
「いのち」といってもまたちょっと違うんですけど。


結果的には「宇宙のもや」で、それを描いているように感じています。


 描き始めたばかりの『ほとはしる』

―目にみえない「キラキラ」しているものということですが、光っているんですか?

光っている、キラキラしているものです。キラキラは、エネルギーのようなものかな。

そのキラキラの流れはみんなの中に流れていて、それを絵で提示することで自分の中、
潜在意識を見いだすことができる――
それが遺伝レベルの癒しとやすらぎになるんじゃないかと思っています。
今回の展示のテーマにしているものですね。

 完成した『ほとはしる』 油彩・ケヤキ 2015 部分

―木城さんの作品の描きはじまりにあらわれる「もや」っとしたものが
 その流れですか?それが木城さんには見えているんでしょうか

見えている、というよりも、その宇宙と「つながりたい」、「感じよう」としています。
だから常にアンテナは立てています。
お茶を飲んでいようが、歯を磨いていようが(笑)
ただ、それを描いているときの気分は、
「答えのわからない証明問題を延々解いている気持ち」。
数学の問題には答えがあるけれど、これには答えがないから、
「答えはわからないけど、誰かが証明しなければいけない!」と。


―苦行ですね(笑)

そうでしょう!しかも展示という名の期限があり。
何かという正解はぜったいあるんだけれども、
その答えはだれにもぜったいにもわからない。
科学者にもわからないし、霊能力者にもわからないし。
でもぜったい何かはあるから、証明することはできるだろうと。
描きあがった絵は、ひとつの証明問題の答えだと思っています。

答えも形が見えないから、「これだ!」とは言えませんが、
その「宇宙」の「端くれ」は見えるんではないでしょうか。


描きながら、探りながら少しずつ完成していく

―そういった宇宙―「答えのない」「目に見えないもや」を描こうとするように
なったきっかけは?

小さいころ住んでいたところはほとんどが田んぼの風景で、
鈴鹿山脈という背の高い大きな山脈が大きく見えました。
毎日毎日、何十年見ていても山の風景は飽きない。
雨が降って、霧が出て、雲がかかって。
たまに神秘的な神々しい、神様っているんじゃないかという風景が雨上がりに
見えたりしました。そういうとき、これはなんだろうな、たかが山なのに
毎日なんで飽きないんだろうと。

あと、三重県なので、伊勢神宮も年末年始に毎年行くと、基本的に何もないのに、
でも何か、木と木の間に何かの気配がある。
そういった中で生きていたので目に見えないけど何かに心を動かされるのは何かな、
と思い始めたんだと思います。


木城さんの原風景鈴鹿山脈。中心に見える山は標高1212mの「御在所岳」


―それが木城さんの言う「宇宙」ということでしょうか。
 仏像をテーマにしていたことと関係はありますか?

仏教用語で曼荼羅という、仏様が宇宙を表しているものがあります。
いろいろな要素が決まった配列で配置されていて、秩序のあるさまを宇宙といって、
そこに共感して仏像をテーマにしていました。
そもそも仏像は、自分の感じるキラキラしたもやが強いような気がしました。
奈良とか京都とか、仏像はかなりインスピレーションが強くて。
それを描いていけば宇宙の設計図になるんじゃないかな、と。
証明問題の1つの答えがそこにあるような気がして、
描きやすいと思ったこともありました。

―今回は木の板に描いた作品が多くありますが、
描いているキラキラしているもの、と関係はありますか?

それまではカンバスにびっちり描いていたんですが、
一緒に展示したことのある仏師さんにみっちり描いてあって入り込む隙がない、
四角い形も押し込められていて窮屈だ、と指摘していただいて。
そのときに木の板をいただいたのがきっかけです。

板に描くと木の存在感があるので、説得力が増すような気がします。カンバスよりも。
私は画面をどうしても埋めなくては、と思ってしまうんですが、
木の場合は隙間を空けても木の存在感があるので埋めなくていいかな、と思えます。
また、木に描くということが原始的な意味を持たせられそうで好きです。

昔はキャンバスがなく、岩に描いたり木に描いたりしていたし、
それもいいんじゃないかと。絵描きの本質、ということから漏れたくないんです。



―「絵描き」ということにこだわりがあるんですね。

私の唯一のこだわりは、筆だけで描くこと。
パレットナイフは使わない。絵描きだから。
筆以外のものは何か違って、パフォーマンスじゃないかと思っています。
パフォーマンスは自分のイメージがあって、こうしたいという思いからやるのであって、
そういう意識ができてしまうと「宇宙」を見る事なんて関係なくなってしまう。
絵を描くときは、証明問題を解いている間に形ができると流れです。
数学で言うならとりあえず3を描いてみよう、ルートを書いてみようと、少しずつ。
完成系がわかっていて、それを目指していくというわけではないんです。



―これからの展望を聞かせてください

外国で個展をして、海外の人に見てもらうというのが野望です。
場所はどこでもいいと思っています。町のギャラリーを転々として。
あと、自分の考えと哲学を持つこと。
菅さんがすばらしいと思うのは、菅さんの哲学をもっているということ。
村上隆にしても、奈良さんにしても世界に出て行く人たちは自分の哲学をもっている。
日本人も自分の世界観を持たないといけない。
私は、きらきらした(笑)。そういう世界。それをもっていきたいと思っています。